個人事業主・自営業者のビジネスローン審査。ビジネスローン審査を通すための方法8選

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「個人事業主や自営業者の方がビジネスローン審査には通りにくいのでしょうか?」
「個人事業主や自営業者のビジネスローンの審査基準はどこにありますか?」
「個人事業主や自営業者がビジネスローンの審査に通るためにはどうすれば良いでしょうか?」

個人事業主や自営業者の場合、銀行融資や公的融資も、一定の枠以上は借りるのが難しいのが現状です。そうなると、選択肢はビジネスローンになりますが、個人事業主や自営業者のビジネスローン審査はどうなるのでしょうか?今回は、個人事業主・自営業者のビジネスローン審査と審査を通すための方法について解説します。

個人事業主・自営業者のビジネスローン審査の現状

個人事業主・自営業者のビジネスローン審査は厳しい!?

現状では

法人よりも、個人事業主・自営業者のビジネスローンの審査の方が厳しい

のが一般的です。

個人事業主・自営業者のビジネスローン審査が厳しい理由

理由その1.個人事業主・自営業者は、税務申告書類が簡易なもの
  • 個人事業主・自営業者の税務申告書類 → 白色申告・青色申告
  • 法人の税務申告書類 → 決算書

であり、

白色申告・青色申告は、簡易的な1年間の収支の内訳を記載したもので、賃貸対照表の提出も求められません。金融機関から見ると「信頼性が薄い」のです。
理由その2.個人事業主・自営業者は、個人の収支と事業の収支が混同されがち

金融機関から見た、個人事業主や自営業者への融資の問題点に

公私混同が激しい

という点が挙げられます。

簡単に言うと「個人」と「事業」の線引きが、法人よりも曖昧なため

  • プライベートな支出を事業の支出として計上してしまう
  • 個人の生活費を事業の支出として計上してしまう
  • 家族の給料を事業の支出として計上してしまう

ということが、まかり通ってしまうのです。

代表者の資産・経費・収支が「個人」と「事業」で混同されてしまい、事業の数値の確実性が低いことがネガティブに捉えられてしまうのです。
理由その3.売上・利益が乏しいため、融資額も小さくなり、融資が受けにくい

一般的に、個人事業主・自営業者は、年間の利益が600万円を超えた場合、税務的に法人成り(法人化)した方がメリットがあると言われています。

つまり、多くの個人事業主・自営業者は、年間の利益が600万円を超えていないことを意味します。

金融機関が融資できる金額は、年間の利益によって決まってくるため、個人事業主・自営業者には少額の融資しかできないのです。

融資審査の手間などを考えると、少額の融資では金融機関の収益性が乏しいため、積極的に融資してもらえないのです。
理由その4.個人事業主・自営業者の方が法人よりも倒産率が高い

開業年次別 事業所の経過年数別生存率

分類 1年経過後 2年経過後 3年経過後 4年経過後 5年経過後 6年経過後 7年経過後 8年経過後 9年経過後 10年経過後
法人の倒産率(単年) 20.4% 12.4% 10.0% 9.0% 7.8% 7.6% 7.3% 7.6% 7.4% 6.9%
法人の倒産率(累積) 20.4% 30.3% 37.3% 42.9% 47.4% 51.4% 54.9% 58.3% 61.4% 64.1%
個人事業主の倒産率(単年) 37.7% 24.1% 20.5% 18.8% 16.2% 16.5% 14.8% 14.3% 14.0% 13.2%
個人事業主の倒産率(累積) 37.7% 52.7% 62.4% 69.5% 74.4% 78.6% 81.8% 84.4% 86.6% 88.4%
全体の倒産率(単年) 27.2% 16.4% 13.3% 11.8% 10.1% 9.8% 9.1% 9.1% 8.8% 8.2%
全体の倒産率(累積) 27.2% 39.2% 47.3% 53.5% 58.2% 62.3% 65.7% 68.8% 71.6% 73.9%

出典:中小企業庁

  • 法人の1年目の倒産率:20.4%
  • 個人事業主・自営業者の1年目の倒産率:37.7%

ですから、あきらかに個人事業主・自営業者の方が法人よりも倒産率が高いのです。

個人事業主・自営業者の方が倒産しやすいのですから、金融機関が融資に及び腰になるのは当然と言えます。
まとめ
  1. 理由その1.個人事業主・自営業者は、税務申告書類が簡易なもの
  2. 理由その2.個人事業主・自営業者は、個人の収支と事業の収支が混同されがち
  3. 理由その3.売上・利益が乏しいため、融資額も小さくなり、融資が受けにくい
  4. 理由その4.個人事業主・自営業者の方が法人よりも倒産率が高い

という理由で

法人よりも、個人事業主・自営業者のビジネスローンの審査の方が厳しい

のです。

個人事業主・自営業者も融資対象にしているビジネスローンの傾向

当サイトで紹介しているビジネスローンで「個人事業主や自営業者」を対象にしているビジネスローンの割合は

31社/39社 79.4%

ですから、ビジネスローンの8割は個人事業主・自営業者も利用対象になっています。

ただし、個人事業主に対しては「業歴」などの条件が付与されている場合が多いです。

例:オリックスVIPローンカード BUSINESS

申込みに際しての条件は?
20歳~69歳までの方で、以下のいずれかに該当する方が、お申し込みいただけます。・業歴1年以上の個人事業主の方。・法人格を有する事業の代表者の方(例:○○株式会社、△△有限会社を経営する方)。

  • 法人 → 条件なし
  • 個人事業主 → 業歴1年以上

金融機関とビジネスローンの融資対象者の傾向

大手の消費者金融

  • → 個人へのカードローンの延長にあるものとして、個人事業主のみにビジネスローンを提供する

中小の事業者金融

  • → 法人への融資が基本で、個人事業主・自営業者には融資をしていない

銀行

  • → 多くは法人向けの融資が中心。一部、ネット銀行で個人事業主・自営業者向けにサービス提供をしている

という傾向があります。

個人事業主・自営業者のビジネスローン審査基準

個人事業主・自営業者のビジネスローン審査基準の考え方

基本的に

個人事業主・自営業者であっても
法人であっても

金融機関の審査の基準というのは、大きく変わりません。

「収益性」を判断する決算数値

  • 売上高経常利益率
  • 総資産経常利益率(ROA)

「安全性」を判断する決算数値

  • 当座比率
  • 流動比率
  • 固定比率
  • 固定長期適合率
  • 自己資本比率

「返済能力」を判断する決算数値

  • 債務償還年数
  • インタレスト・カバレッジ・レシオ

という経営数値に加えて、

  • 事業歴の長さ
  • 経営者個人の信用情報
  • 税金の納付状況

などの情報を加えて、審査が行われます。

ビジネスローン審査基準はこちら

個人事業主・自営業者がビジネスローン審査を通すための方法

方法その1.法務局に開業届を出す

個人事業主とは
法人を持たずに、個人が事業を営んでいる方のこと

を言います。

個人事業主は、法務局へ開業届を出すことが所得税法で定められています。

しかし、多くの個人事業主が「個人の副業感覚」で事業を行い、法務局へ開業届を出していない方も多いのです。未提出の罰則がないことと、失業手当が受け取れない、健康保険の不要から外れるなど、デメリットも少なくないため、開業届を提出しない方が出てしまうのです。

開業届は「法律(所得税法)」で定められているものです。金融機関は、法律の順守には厳しいため、開業届を出していない個人事業主・自営業者は、それだけで融資対象から外れてしまう可能性が出てくるのです。

方法その2.青色申告を行う

個人事業主、自営業者の確定申告の申告方法には

  • 白色申告
  • 青色申告

の2つの方法があります。

白色申告とは

単式簿記による記帳で認められる確定申告方法のこと。青色申告の申請をしなければ、自動的に白色申告が適用されます。
白色申告のメリット
  • 申請が不要
  • 帳簿の記帳が簡単
  • 確定申告の提出書類が少ない

青色申告とは

日々の取引を複式簿記で記帳する確定申告の方法のこと。
青色申告のメリット
  • 青色申告特別控除(最高65万円)という税金の控除特典がある
  • 赤字が3年間繰り越せる
  • 家族へ支払う給与が経費にできる
白色申告 青色申告(10万円控除) 青色申告(65万円控除)
事前申請 なし 必要 必要
簿記 単式簿記 単式簿記 複式簿記
確定申告書類 収支内訳書(2ページ) 青色申告決算書(4ページ) 青色申告決算書(4ページ)
特別控除額 なし 10万円 65万円
複式簿記とは
すべての取引を借方と貸方に分けて記帳する記帳方法のこと

「青色申告」では、記帳の仕方が法人に準ずる「複式簿記」になり、提出する申告書も「青色申告決算書」という「賃貸対照表」「月次の収支」「減価償却費」が記載された「白色申告」よりも詳しいものとなります。

銀行が融資する際に

  • 年間の収支しか記帳されていない
  • 賃貸対照表がない
  • 減価償却費がわからない

「白色申告」よりも

  • 月次の収支が記帳されている
  • 賃貸対照表がある
  • 減価償却費も記載されている

「青色申告」を重視するのは当然なのです。

方法その3.最低限の事業歴が必要

前述した通りで

分類 1年経過後 2年経過後 3年経過後 4年経過後 5年経過後 6年経過後 7年経過後 8年経過後 9年経過後 10年経過後
個人事業主の倒産率(単年) 37.7% 24.1% 20.5% 18.8% 16.2% 16.5% 14.8% 14.3% 14.0% 13.2%
個人事業主の倒産率(累積) 37.7% 52.7% 62.4% 69.5% 74.4% 78.6% 81.8% 84.4% 86.6% 88.4%

個人事業主も、事業歴が長くなれば長くなるほど、倒産率が下がっていくものです。

現時点で、ビジネスローン審査に落ちてしまったとしても、半年後、1年後、2年後は、倒産率が下がり、事業歴という実績がついてくるので、ビジネスローン審査は通りやすくなるのです。

事業歴を伸ばすことが審査通過の可能性を上げる大きなポイントとなります。

方法その4.公的融資を利用して返済実績を作る

個人事業主・自営業者が一番はじめに借りられる融資というのは「公的融資(日本政策金融公庫・制度融資)」です。

日本政策金融公庫で資金調達して、返済を問題なく続けていることが「返済実績」となり、ビジネスローンや銀行融資の中でも、返済実績は評価の対象となるのです。

公的融資で資金調達する方法

方法その5.個人事業主・自営業者向けのビジネスローンに申し込む

基本的に

法人融資がメインのビジネスローンがオプション的に個人事業主・自営業者を対象としていても、審査に通ることはかなり難しいのが現状です。

なぜなら、「個人事業主・自営業者」の比較対象が「法人」になるからです。

  • 決算の情報が少ない
  • 倒産率が高い
  • 売上が小さい(融資額も小さい)

「個人事業主・自営業者」が

  • 決算の情報が多い
  • 倒産率が低い
  • 売上が大きい(融資額も大きい)

「法人」と比較されてしまえば、なかなかビジネスローン審査に通らないのは当然なのです。

だとすれば、

はじめから「個人事業主・自営業者」しかいないビジネスローンに申し込んだ方が、「個人事業主・自営業者」同士での融資を勝ち取る争いになるので、勝てる可能性は高くなります。

比較対象は他の「個人事業主・自営業者」です。他の「個人事業主・自営業者」よりも、決算の数値が良く、事業歴が長ければ審査に通る可能性は格段に上がるのです。

個人事業主におすすめのビジネスローンはこちら

方法その6.審査に甘いビジネスローンに申し込む

ビジネスローンの中にも、審査の甘いビジネスローン、審査の厳しいビジネスローンがあります。

審査の甘いビジネスローンの特徴は

  • 金利が高い
  • 中小企業規模のノンバンクが提供しているビジネスローン
  • 証書貸付型のビジネスローン

です。

これらの審査の甘いビジネスローンは、法人向けの融資中心のものが多いため、個人事業主・自営業者が融資対象になるものが少ないのですが、審査の甘いビジネスローンの一部は個人事業主・自営業者にも積極的に融資してくれます。選択肢の一つとして申し込んでみましょう。

審査の甘いビジネスローンはこちら

方法その7.カードローンで借りる

個人向けのカードローンの場合

資金使途自由
※ただし、事業性資金は除く

となっているものがほとんどです。

しかし、お金に色は付いていないのですから

  • カードローンで借りたお金 → 生活費
  • 元々、生活費として使うためのお金 → 事業性資金

として、使えばとくに問題はないのです。

個人としてカードローンを借りることの方が、個人事業主・自営業者としてビジネスローンを借りるよりも、何倍も審査には通りやすいです。

ただし、一定以上の収入がないとカードローンの場合は、総量規制(借りられる総額は年収の3分の1位内)にひっかかってしまうので、高額な借入はできない点に注意が必要です。

ビジネスローンの場合は「総量規制の対象外」となるため、年収に限らず、借りられる金額はビジネスローン会社の審査次第となるのです。

カードローンで借りるメリットデメリットも把握した上で、個人向けのカードローンで借りることも個人事業主・自営業者の資金調達の選択肢に入れておきましょう。

ビジネスローンとカードローン比較

方法その8.法人成りする

法人の方が個人事業主・自営業者よりも、ビジネスローン審査に通りやすいのが現状です。

一定程度の利益(年間500万円以上)が出ている状態であれば、法人成りしてしまって、公的融資や銀行融資、ビジネスローンが借りやすい状態にするのも、一つの方法です。

法人成りするためには、会社設立で約25万円程度必要になり、毎月1万円~2万円程度の税理士報酬が発生します。しかし、それ以上に対外的な信頼性が高まり、資金調達がしやすくなるのですから、メリットの方が大きいとも言えます。

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法人成りをして、資金調達をしやすい体制を作るのも、選択肢の一つに入れておきましょう。

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