銀行ビジネスローンは終わった?ビジネスローンはノンバンクを選ぶべき理由

man
「銀行ビジネスローンって以前は積極的に販売していた印象なんだけど・・・なくなったの?」
「ビジネスローンを選ぶときはやっぱりノンバンクよりも、銀行の方が良いの?」

ビジネスローンを検討している経営者の方がこのような疑問を持つことも少なくないはずです。今回は銀行ビジネスローンの現状について解説します。

ビジネスローンは元々銀行が開発したローン商品

ビジネスローン(事業者ローン)というのは、元々銀行が開発したローン商品でした。

銀行が法人へ融資する方法としては、大きく分けて

  1. 制度融資(日本政策金融公庫の保証付融資)
  2. プロパー融資(銀行自身が貸し倒れ損失を負う銀行独自の融資)

の2つだけでした。

しかし、銀行融資の金利は2.0%~5.0%ぐらいですので

man
「この低金利設定では従業員が数十人以下の中小企業、零細企業、個人事業主には融資ができない。」
「数十人以下の中小企業、零細企業、個人事業主は借入額が小さいので、いちいち銀行側の融資審査をしていたら、コストが利息よりも大きく割に合わない」

と、経営状態が悪く、規模の小さい中小企業には積極的に銀行は融資をしてこなかったのです。とくにバブル崩壊後の1990年代後半にはこれは顕著になっていきました。

だだ、これでは

man
「政府からは『融資しろ』って言われるし、たしかに法人の99%を占める中小企業という市場をスルーするのは銀行としてももったいない。」

と考え

man
「なんとか従業員が数十人以下の中小企業、零細企業、個人事業主にも融資できる方法ないのか?」

と編み出されたのが「ビジネスローン」です。

ビジネスローンの最大の特徴は「スコアリングシステムによる審査」

銀行が開発した「ビジネスローン」の大きな特徴はスコアリングシステムにあります。

スコアリングシステムとは

決算書等の情報を入力すると、融資可否、融資可能額が瞬時に算出されるシステムのこと

です。

スコアリングシステムの銀行にとってのメリット

審査コストがかからない

スコアリングシステムは、決算書のデータや申込情報を入力すれば、アルバイトが入力しても、数分で審査結果が出てくる仕組みです。

銀行融資の場合は
  1. 融資担当者が融資先の調査・ヒアリング
  2. 融資担当者が融資先の状況、業界状況を分析
  3. 融資担当者が「稟議書」を起案
  4. 稟議書を係長がチェック
  5. 稟議書を渉外課長がチェック
  6. 稟議書を融資課長がチェック
  7. 稟議書を支店長がチェック
  8. 稟議決裁(融資可否が決定)

という流れになり、

  • 融資経験がある融資担当者が融資の稟議書を作成しなければならない
  • 融資担当者は稟議書を作成するために色々な調査を行う必要がある
  • 稟議書の回覧は支店の役職者がチェックし、場合によっては銀行本部の役員までチェックが必要

なのですから、一つの融資案件に、何人もの人が関連し、数週間の時間を経て融資に至るのです。

審査コストは大きい

のは当然なのです。

concierge
1案件ごとの審査コストが大きくなるということは、銀行にそれなりの利息収入が見込める必要があるので、借入額の少ない中小企業、零細企業、個人事業主は、相手にされないことになってしまいます。

しかし、これを

  1. 審査ノウハウのない担当者が
  2. システムに情報を入力するだけで
  3. システムが自動的に最適な融資結果を
  4. 数分で算出してくれる

のですから、「スコアリングシステムによる審査」は

審査コストが大幅に削減できる

ことになります。

貸し倒れリスクを軽減できる

スコアリングシステムによる審査の仕組みは

  1. 過去の融資データを分析
  2. 類似の企業群の貸し倒れ率を把握
  3. 融資先企業の決算情報から
  4. 似たような企業群の貸し倒れ率を発見し
  5. 「予想貸し倒れ率」が算出され
  6. +αの銀行の利益を上乗せして
  7. 融資可否、融資可能額が決定する

という仕組みになっています。

簡略化して説明すると

経常利益率5.0%、希望借入額500万円で、企業がビジネスローンに申込んだ場合

担当者は「申込情報」「必要書類で提出された決算書情報」をスコアリングシステムに入力します。

スコアリングシステムは

過去の融資データの中で「経常利益率5.0%、借入額500万円の企業」の貸し倒れ率を探します。

経常利益率5.0%の企業への過去の融資データ100社を検索にしたところ、貸し倒れ率は7.0%でした。

この貸し倒れ率が「予想貸し倒れ率」になり、これに銀行側の利益+2.0%を載せて融資金利とします。

融資金利 = 予想貸し倒れ率:7.0% + 銀行利益:2.0% = 9.0%

9.0%は、利息制限法の上限を下回るので「融資可能」と判断するのです。

man
なぜ、「予想貸し倒れ率」が「融資金利」になるの?

100社に1000万円融資した場合に貸し倒れ率が7%だったと仮定すると

貸し倒れ:7社 × 1,000万円 = 7000万円の損失

です。

もし、貸し倒れ率と同じ金利で融資をしていた場合

100社 × 1000万円 × 7.0% = 7000万円の利息収入

トントンになるのです。

つまり

「貸し倒れ率」と「融資金利」が同じなら、銀行側に損はない

ことになります。

だからこそ

「予想貸し倒れ率」に対して銀行側の設定した「利益分の金利」を上乗せして「融資金利」にすれば、確実に利益が出る

と考えて「ビジネスローン」が開発されたのです。

man
審査に手間がかからず、「予想貸し倒れ率」に上乗せする形で融資をするので、確実に利益を確保できる
concierge
と銀行は考えたからこそ、「ビジネスローン」は今まで相手にしてこなかった中小企業、零細企業、個人事業主向けのローン商品としての画期的な解決策として、2000年代前半には積極的に販売するようになっていったのです。

銀行ビジネスローンの大きな誤算

「予想貸し倒れ率」が全然当たらない!不良債権続出

銀行の大きな誤算は

スコアリングシステムによる審査で算出した「予想貸し倒れ率」が全然あたらない結果となった。

ということです。

2008年のリーマンショックなどを受けて、中小企業、零細企業の経営悪化による倒産が増加しました。これはスコアリングシステムの予想を超える勢いで銀行の不良債権を増やしてしまったのです。

予想貸し倒れ率:7.0%に銀行の利益分:2.0%を載せて9.0%で融資したのに、実際の貸し倒れ率が10.0%を超えてしまったら、銀行は大赤字になってしまいます。

このような事態が多発してしまったのです。

これはリーマンショックだけの問題ではなく

  • インターネットが普及し、流行の移り変わりスピードが加速してしまって、過去の融資データが参考にならなくなってしまった。
  • 過去の融資データの実績のないビジネスモデルの会社も増えてきた。
  • 「予想貸し倒れ率」が当たったかどうかがわかるのは3年~5年後と時間がかかる。
  • 会社特有の事情などは考慮されない

等、複数の大きな問題があり、

銀行は

man

ビジネスローンは失敗だった。

無担保で機械的に審査判断をするよりも、今まで通りに融資先の調査を慎重に行って、保証協会の保証や担保ありきでの大口融資の方が良い。

ビジネスローンの販売は停止しよう。

という判断に至ったのです。

concierge
結局、2000年代前半には各銀行とも積極的に販売していたビジネスローンでしたが、2000年代後半からは逆にビジネスローンを販売しないという方針に変わっていったのです。

メガバンクのウェブサイトを見ても

三菱東京UFJ銀行

ビジネスローン商品はなし

  • 借入相談
  • 保証協会保証付貸出のご相談

の案内だけ

みずほ銀行

ビジネスローン商品はなし

  • コミットメントライン
  • シンジケートローン
  • 事業債
  • 不動産ファイナンス
  • LBO/MBO/買収ファイナンス/企業再生
  • プロジェクトファイナンス
  • アセットファイナンス
  • 船舶ファイナンス
  • 信用保証協会保証付貸出

他の資金調達方法がしか掲載がない

三井住友銀行

  • 中小企業向け融資ビジネスセレクトローン
concierge
と「三菱東京UFJ銀行」「みずほ銀行」はウェブサイトにもビジネスローンの情報がなく、「三井住友銀行」のみがかろうじてビジネスローン商品を提供している状態なのです。

地方銀行は、まだビジネスローンを販売しているが消極的な姿勢

メガバンクは「ビジネスローン」の提供から、早々に撤退をしたのですが、より中小企業、零細企業の重要性が高い地方銀行は、まだ「ビジネスローン」を提供しています。

ただし、地方銀行の本音も、大手都市銀行と同じで

man
  • 無担保ローンで中小企業、零細企業に融資するのはリスクが大きい
  • 担保か保証人(保証協会の保証)が必要

というのは変わりません。

  • 「ビジネスローン」という名称でプロパー融資をしているだけ
  • 「ビジネスローン」という名称で保証協会の保証付融資をしているだけ
  • 「ビジネスローン」という商品はあるが、審査のハードルを高く設定する
  • スコアリングシステムを使わずに審査をする
  • 融資金利を引き上げる

という形で、貸し倒れリスクを下げて提供しているのです。

ビジネスローンの主役はノンバンク

concierge
このような状況にある中、ビジネスローンの主役はノンバンク(消費者金融、クレジットカード会社)に移行してきたのです。

ノンバンク(消費者金融、クレジットカード会社)は

  • 金利をもっと引き上げる(10.0%~15.0%)
  • 借入限度額を引き下げる

ことで

  • 最短即日融資(最短60分審査)
  • 銀行ビジネスローンよりも甘い審査
  • ローンカードによるATM借入・返済
  • ローンカードによる限度額内に余裕があれば何度でも借入可能

と「利便性」を高めて、「ビジネスローン」を提供し始めたのです。

金利を銀行ビジネスローンよりも高く設定することによって、多少の貸し倒れが発生しても耐えられる状態にして、カードローン/キャッシングのノウハウをベースに「利便性」を引き上げたのです。

銀行ビジネスローン

  • 借入額:500万円~5,000万円
  • 金利:5.0%~10.0%
  • 融資スピード:3営業日~1週間
  • 借り方:契約後に一括借入
  • 返済方法:元金均等返済、元利均等返済、期日一括返済

ノンバンクのビジネスローン

  • 借入額:300万円~500万円
  • 金利:10.0%~15.0%
  • 融資スピード:最短即日
  • 借り方:コンビニATM、銀行ATMでローンカードによる借り入れ
  • 返済方法:残高リボルビング返済

「より小回りの利く資金調達方法」として、サービスを提供しているのです。

concierge
ノンバンク(消費者金融、クレジットカード会社)といっても、ビジネスローンを提供しているノンバンク(消費者金融、クレジットカード会社)は、ほとんどが大手企業であり、カードローンやクレジットカードを個人向けに提供している会社になります。
  • ビジネクスト(アイフルの子会社)
  • オリックス・クレジット(オリックスグループの消費者金融)
  • オリエントコーポレーション(オリコカード)
  • プロミス
彼らには
  • ローンカード発行の仕組み
  • スコアリングシステム
  • 提携ATM
  • 問い合わせ対応のコールセンター
  • 郵送などのフロー
    ・・・

などの仕組みが個人向けのカードローンやクレジットカードで既にあるので、それをビジネス用にしただけなので、コストを掛けずに算入できるメリットがあったのです。

利用する側にとっても
  • 今日中にどうしても資金が必要なときに即日借り入れが可能
  • 枠を持っておけば、いつでも会社の側のコンビニで借りられる利便性
  • 審査が銀行ビジネスローンよりも通りやすい

というメリットがあるのです。

「ノンバンクのビジネスローン」はビジネスローンの特徴である

  • 金利が高い
  • スピードが融資が可能
  • 審査は甘い

を「銀行ビジネスローン」よりも極端にしたものという位置づけなのです。

ビジネスローンはノンバンクを選ぶべき理由

ビジネスローンはノンバンクを選ぶべき理由は

  1. 目的と使い方が明確だから
  2. 銀行はビジネスローンに積極的でないから

の2点です。

「ノンバンクのビジネスローン」はビジネスローンの特徴を極端にしたものですから

  • 今日中に資金が必要
  • 審査に自信がない
  • 審査に落ちた
  • いざという時のために「枠」を持っておきたい
  • 保証人が見つからない
  • 担保がない

という場合に有効なのです。

ただし、

  • 金利が高い
  • 借入可能額が小さい

というデメリットもあるため

  • 低金利で借りたい
  • 500万円以上の高額な借入をしたい

という場合には「保証協会の保証付融資」を検討すれば良いのです。

concierge

この中間にあるのが「銀行ビジネスローン」なのですが、銀行自体が積極的に販売していない以上、審査は厳しくなります。できればビジネスローンで融資をしたくないのですから、これは当然なのです。

だとすれば、資金調達方法としては

  • 低金利、高額借入可能「保証協会の保証付融資」
  • 高金利、即日融資可能、審査が甘い「ノンバンクのビジネスローン」

が大きな選択肢になるのです。

まとめ

ビジネスローンは元々銀行が開発したローン商品です。

スコアリングシステムが過去の融資データを分析し、「予想貸し倒れ率」を算出することで「融資可否」「融資金利」を自動的に決定するため、審査コストを掛けずに中小企業に融資ができるメリットがあるため、銀行は積極的にビジネスローンを販売していたのですが・・・

実際に運用して数年経過してみると「予想貸し倒れ率」が全然あてにならない、不良債権が想定よりも続出してしまうという事態になってしまったのです。

結果として

  • 大手都市銀行はビジネスローンの提供を辞めた。
  • 地方銀行は未だビジネスローンの提供をしているが積極的な販売商品ではない。

という状況になっているのです。

一方で

大手消費者金融、大手カード会社は、個人向けのクレジットカードやカードローンの商品スキームを法人向けにするだけで、簡単にビジネスローンに参入できるため、大手消費者金融、大手カード会社が販売するビジネスローンが増えてきています。

スコアリングシステムの予想貸し倒れ率があてにならないのは変わりませんが、その分金利を上げることでリスクヘッジするとともに、より借りる方にメリットがある設計「即日融資」「審査が甘い」「コンビニATMで借入可能」「何度でも借入可能」にして、サービス提供しているのです。

現在では

ビジネスローンによる融資に積極的でない銀行のビジネスローンよりも利便性が高く、ビジネスローンの提供に積極的なノンバンクのビジネスローンの方が

「小回りの利く資金調達方法」としてメリットが大きいのです。

concierge

金利が高いデメリットがあるため、短期の資金調達方法として活用すべきですが、ビジネスローンを比較検討するのであれば「ノンバンクのビジネスローン」をおすすめします。

低金利の資金調達が譲れないという場合には、銀行の保証協会の保証付融資を検討すべきでしょう。上手に使い分ける必要があります。

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