ビジネスローンの取立てはどこまで許されるか|貸金業法21条の10号と、21時〜8時という時間帯の線引き

ビジネスローンの取立てには法律の線引きがある。禁じられる時間帯は21時から8時、法が挙げる禁止行為は10号、協会への相談費用は無料という要点を並べた図

返済が滞りそうなとき、頭をよぎるのは金額の計算より「どんな取立てをされるのか」という不安でしょう。映画やドラマの場面が浮かぶかもしれませんが、登録を受けた貸金業者に対しては貸金業法が取立ての方法を具体的に制限しています。しかも条文は抽象論ではなく、時間帯や訪問先、誰に連絡してよいかまで書き込んでいます。条文を確認しながら、線引きと、線を越えられたときの相談先を整理します。

先に要点

  • 貸金業法第21条第1項は、取立てにあたって人を威迫する言動や、私生活・業務の平穏を害する言動を禁止し、具体例を10号にわたって列挙しています。
  • 電話・FAX送信・居宅訪問が原則禁止される時間帯は、貸金業法施行規則第19条第1項により午後9時から午前8時までと定められています。
  • 正当な理由がないのに勤務先に電話をかけたり、勤務先を訪問したりすることも禁止されています。
  • 貼り紙や立看板などで借入れの事実を他人に知らせることは名指しで禁止されています。
  • 弁護士や司法書士に処理を委託し、書面による通知が届いた後は、正当な理由なく本人へ直接弁済を要求できません。
  • 相談や苦情処理手続の申立ては、日本貸金業協会の窓口で手数料がかかりません。

条文が禁じている10の行為

貸金業法第21条第1項は、貸金業を営む者と、その債権の取立てを委託された者を名宛人にしています。つまり債権回収を外部に委託しても、規制は付いて回ります。条文が挙げる10号を、実務の場面に置き換えて並べます。

号 禁止されていること 実際の場面
一号 内閣府令で定める時間帯に電話・FAX送信・居宅訪問をすること 深夜や早朝の着信、明け方の訪問
二号 債務者が弁済や連絡の時期を申し出たのに、その時間帯以外に連絡・訪問すること 「来週月曜に連絡する」と伝えた翌日の督促
三号 正当な理由なく勤務先など居宅以外の場所へ電話・電報・FAX・訪問をすること 会社への電話、取引先での待ち伏せ
四号 退去を求められたのに、その場所から退去しないこと 玄関先に居座る
五号 貼り紙・立看板その他の方法で、借入れの事実を他人に明らかにすること 玄関や社屋への貼り紙
六号 他から借りて返済資金を調達するよう要求すること 「どこかで借りて返せ」という指示
七号 債務者以外の者に、代わって弁済することを要求すること 家族や共同経営者への支払要求
八号 協力を拒否している第三者に、さらに取立てへの協力を要求すること 居所を知らないと答えた親族への再三の連絡
九号 弁護士等や裁判所から書面通知があった後、正当な理由なく本人に直接弁済を要求すること 受任通知後の本人への督促
十号 右のいずれか(六号を除く)を行うと告げること 「勤務先に連絡する」と予告する

注目したいのは十号です。実際にやらなくても「やる」と告げた時点で規制の対象になります。「会社に連絡しますよ」という一言は、それ自体が問題になり得る発言です。

時間帯は条文ではなく府令で決まっている

一号の「内閣府令で定める時間帯」は、条文そのものには書かれていません。貸金業法施行規則第19条第1項が、これを午後9時から午前8時までの間と定めています。

午後9時から午前8時までが電話や訪問を禁じられる時間帯であることを24時間の帯で示した図
赤い帯の時間は、正当な理由がなければ連絡できない。

ここで見落としやすいのが二号との関係です。午前8時から午後9時の間なら何度でも連絡してよい、という意味ではありません。債務者が弁済や連絡の時期を申し出ていて、その申出が社会通念に照らして相当と認められる場合、その時期を無視した連絡は正当な理由がない限り規制に触れます。連絡を絶つのではなく、いつなら払えるかを伝えておくことに実益があるのはこのためです。

この規制は登録を受けた貸金業者とその委託先に適用されるものです。無登録の業者は規制の外で動きます。借りる前に登録業者かどうかを確認しておくことが、結局はいちばんの防御になります。

催告書面に何を書かなければならないか

取立ての方法だけでなく、督促の書面にも決まりがあります。貸金業法第21条第2項は、支払を催告するために書面または電磁的記録を送付するとき、記載しなければならない事項を列挙しています。

記載しなければならない事項 確認の観点
貸金業を営む者の商号・名称・氏名および住所・電話番号 どこの誰からの請求か
書面または電磁的記録を送付する者の氏名 担当者が特定されているか
契約年月日 いつの契約に基づくものか
貸付けの金額 元の借入額と合っているか
貸付けの利率 契約時の利率と一致しているか
支払の催告に係る債権の弁済期 いつ期限が来たものか
支払を催告する金額 内訳が説明できる金額か

届いた督促状にこれらが揃っているかを確かめるだけでも、相手の素性と請求の中身がかなり見えます。差出人の商号も電話番号も書かれていない督促は、まずそこを疑う材料になります。

返せそうにないときの順番

規制を知っていても、返済が進まなければ状況は改善しません。打つ手の順番を整理します。

返済が難しくなったときに連絡を絶たない・登録業者か確認する・規制違反を記録する・協会へ相談するという4段階の手順を示した図
連絡を絶つことが、いちばん選択肢を狭める。

返済条件の見直しで足りるのか、借換えを検討すべきなのかは、残高と収支次第です。返済総額の比べ方は繰上返済で利息がどれだけ減るかで整理しています。すでに複数の借入で行き詰まっている場合は、返済が苦しいときの整理の進め方もあわせて読んでください。

相談は無料で受けられる

日本貸金業協会は、貸金業相談・紛争解決センターという窓口を設けています。一般相談、債務相談のほか、苦情処理手続と紛争解決手続(金融ADR)を扱っています。

日本貸金業協会の相談・苦情処理手続・紛争解決手続の受付窓口ページの画面キャプチャ。一般相談、債務相談、生活再建支援カウンセリングの案内が並んでいる
出典:日本貸金業協会「相談、苦情処理手続、紛争解決手続の受付窓口」。
手続き 内容 費用
一般相談 登録業者かどうかの確認、契約内容の不明点、ヤミ金融の相談に助言 かからない
債務相談 債務状況や返済能力を把握したうえで助言、他の相談機関の情報提供 かからない
苦情処理手続 業者への是正・改善の要請。解決しなければ紛争解決手続へ移行できる かからない
紛争解決手続(金融ADR) 紛争解決委員(弁護士)が中立の立場で和解案を提示 ―
貸付自粛制度 自らを自粛対象者として申告。個人信用情報機関に一定期間登録される かからない

受付は電話が0570-051-051で、時間は9時から17時(土日祝休日・年末年始を除く)。Web相談の受付もあります。相談も苦情処理手続の申立ても、貸付自粛制度の利用も手数料は一切かからないと案内されています。費用を理由に相談をためらう必要はありません。

登録業者かどうかは、協会の協会員検索と、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認できます。協会のページからもリンクされています。相手の登録を確かめないまま交渉を続けると、規制の前提そのものが成り立ちません。

よくある質問

夜9時を過ぎてから電話がかかってきました

午後9時から午前8時までの時間帯は、正当な理由がなければ電話・FAX送信・居宅訪問が禁止されています。日時と内容を記録しておいてください。

勤務先に電話をされました

正当な理由なく勤務先その他の居宅以外の場所へ電話をかけることは、第21条第1項三号で禁止されています。

家族に払ってくれと言われました

債務者等以外の者に代わって弁済することを要求する行為は、七号で禁止されています。連帯保証人になっている場合は立場が異なるので、契約内容を確認してください。

弁護士に頼んだら取立ては止まりますか

弁護士や司法書士に債務の処理を委託し、その旨の書面による通知が業者に届いた後は、正当な理由なく本人へ直接弁済を要求することが禁止されます。依頼と通知の到達が条件です。

督促状に会社名が書かれていません

催告のための書面には、商号・名称または氏名、住所、電話番号などを記載しなければならないと定められています。記載がない書面は、相手の登録状況とあわせて確認してください。

相談にお金はかかりますか

日本貸金業協会の案内では、相談、苦情処理手続の申立て、貸付自粛制度の利用について手数料は一切かからないとされています。

この記事で参照した一次情報

不動産担保ローンはこちら
売掛債権担保ローンはこちら
ビジネスローン審査はこちら
ビジネスローン即日はこちら
ビジネスローンおすすめはこちら
ビジネスローンランキングはこちら
ビジネスローン比較はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です